現役メガバンク行員から見た半沢直樹【総集編・前編】【解説】

メガバンク

こんにちは、たこすです。

本日は半沢直樹についてです。現役メガバンク行員から見ると、色々ツッコミどころもあったので総集編前編についてコメントしていきたいと思います。

産業中央銀行のモデル

これは作者の池井戸潤の出身銀行なので良く言われますが、今の三菱UFJがモデルになっています

メガバンクは三菱UFJだけでなく三井住友もみずほも銀行がいくつも合併して出来上がっています。どの銀行も旧行意識があり役員レベルでは足の引っ張り合いがある文化は今も残っています。

出向は片道切符の島流し

銀行の出向には2種類あります。一つ目は銀行で更に活躍してもらうために若いうちに往復切符で出向させるケースです。出向先はグループ会社や経済産業省などの官公庁まで様々です。エリート採用の高学歴銀行員が出向するケースが多いです。

もう一つが定年前に出向させるケースです。特に40代中盤から多くなってきますが、順当に出世できなかった銀行員から徐々に仲の良い取引先やグループ会社に出向し、給料は大体3割くらい減ると言われています。

なぜ銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸すのか?

ここは東田に言われて半沢も反論できなかったシーンですね。これは残念ながら事実です。なぜなら銀行からの貸し出しは個人のお客様の預金を活用しているからです。

みなさんは突然預金の残高が減らされたらどうするでしょうか?銀行は個人のお客さんの預金を守るためにも慎重に貸し出しを判断しているのです。

もちろん、雨の中や曇り空の時に傘を貸すこともあります。

取引先と銀行の関係、歴史、それらを総合的に考えて困難な貸し出しにチャレンジするケースです。ただし中小企業のお客様とは取引の歴史が浅いことが多く、雨の日には貸せないことの方が圧倒的に多いでしょう。

上司の責任は部下の責任

これは今のメガバンクではあり得ないです。

銀行の評価は上司、部下からの360度評価を採用していますし、支店長の責任は部下ではなく支店長の責任になります。つまり、部下の責任は上司の責任です。

僕の銀行では、部下の銀行員が不正行為をしたことを見抜けなかった責任として、その支店の支店長、副支店長、課長が全員出向するという事件を見たことがあります。

半沢直樹の出向先は実はいいところ?

半沢直樹の出向先はフィリピンのマニラにある工場でした。おそらく、産業中央銀行と仲のいい日系企業の工場ですが、今の時代を踏まえると、実は出向先としては良いところと考えられます。

通常日本人が海外の工場に赴任する際は工場長か管理部門長です。加えてマニラであれば公用語が英語のため、マネジメントのスキルと英語力を両方養うことが可能になり、一旦そこで給料が下がってもその後の転職も有利になりやすいです。

僕が仮にこのような出向を受けたらそこまでショックを受けないと思います。

本店営業二部への異動

半沢直樹は浅野支店長の力を使って本店営業二部の次長ポストで異動しました。これが現実のメガバンクで起こったらどんな魔法を使ったんだ?と思うことは間違いないです。

本店営業部は正にエリート街道の中心地で、メガバンクの中で最重要なお客様を取り扱う部署です。

本店営業部の取引先は名前を聞いたことがある大企業しかいません。当然求められるスキルは高く、銀行の基本業務はもちろんのこと、証券会社のビジネスモデルや信託銀行のビジネスモデルに対する理解も必要です。この知識とお客さんが置かれている競争環境についての深い洞察を組み合わせた提案が出来ないといけません。

半沢直樹は異動するまでは3千万円規模の貸し出しが中心であり、メガバンクで言うとかなり小さな支店で活躍していたイメージが強く、ここから大企業営業のマネジメントをする次長ポストは現実的ではないと思いました。

まとめ

まとめ
  • 半沢直樹のモデルは三菱UFJ
  • 出向には往復切符もある
  • 銀行は雨の日に傘を貸さないのは事実
  • 部下の責任は上司の責任
  • 半沢直樹の出向先は今考えると良いところ
  • 半沢直樹の本店営業二部への異動は現実だと有り得ない
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