こんにちは、たこすです。
銀行員の異動についてです。銀行員が5年以内に異動することは銀行員の間では常識です。では、なぜ5年なのか、引き継ぎ期間はどれぐらいなのか解説していきます。
銀行員の5年異動ルール
銀行の営業マンは通常5年以上同じ支店にいることは出来ません。これは、金融庁が掲げる「主要行等向けの総合的な監督指針」において、下記の通り謳われているからです。
人事管理に当たっては、事故防止等の観点から職員を長期間にわたり同一業務に従事させることなくローテーションを確保するよう配慮されているか。
金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」
金融庁は特段期間を明記しているわけではないですが、暗黙の了解で銀行は5年ルールを適用しています。
一週間休暇も金融庁のルール
銀行員は年に一度必ず一週間休暇を取得しなければなりません。これも、実は金融庁が定めた指針に基づくものです。下記の通り、一週間以上と明記されています。
人事担当者等と連携し、連続休暇、研修、内部出向制度等により、最低限年一回、一週間以上連続して、職場を離れる方策をとって いるか
金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」
背景には不正と癒着防止
なぜこのようなルールを金融庁が定めているかというと、銀行員の不正と癒着を防止をするためです。
銀行員は多額の金銭を扱う仕事なので、不正の温床になり易く、あまり同じ取引先企業と長く付き合うことを良しとしていなかったのです。実際に事件も起きてたりします。
実際にみずほで起きた不正融資事件
最近ではあまり大きな事件は起きてないですが、過去に起きた不正融資事件では、みずほ銀行の事件が有名です。
2008年、仕事を通じて知り合ったみずほ銀行の行員と取引先企業が結託して5億円の融資金を騙し取った事件です。
取引先企業は本当の売上高は1千万円程度にもかかわらず、約60億円の偽の決算書を提出し、5億円の融資を受けました。
融資5億円の大半は私的に流用され、少なくとも数億円はみずほ銀行員がリベートとして受け取っていたようです。
実は昨年にルールは撤廃されていた。
実は、2019年12月、金融庁はこの不正防止のための5年以内の異動や一週間の職場離脱のルールを下記のように書き換えていて、事実上撤廃しています。
事務リスクとは、銀行の役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正 等を起こすことにより、銀行が損失を被るリスクをいうが、銀行は当該リスクに係る役職員の人事管理を含む内部管理態勢を適切に整備し、業務の健全 かつ適切な運営により信頼性の確保に努める必要がある。
金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」
背景には、特に事業承継を検討している中小企業オーナーや個人のお客様から短いスパンで担当者がコロコロ変わることについての不満が多いことを踏まえて撤廃に踏み切ったようです。
これからのメガバンクの人事制度
金融庁の5年ルール撤廃を受けて、これからメガバンクの人事制度が変わるかというと、そう簡単ではないと思われます。
既に、現時点の人事制度でも問題なくワークしており、ジョブローテーションの期間を長期化すると返って不都合な部分もあったりするからです。
当面は5年ルールを原則として適用しつつ、例えば個人営業担当に一部の異動を長期化したり、転勤したくない人のための職種を設けたりして徐々に制度を変えていくような動きが妥当だと思います。