こんにちは、たこすです。
本日はメインバンク制について説明します。
明確なルールはないですが、銀行に入ると否が応でもメインバンク制の仕組みの理解が必要になります。
メインバンク制とは
日本にしかない独自の制度です。
企業は経営をする上で、必ず資金調達が必要になり、特に直接金融が難しい時代には銀行から借入をするほかなかったのです。
その時代に生まれたのがメインバンク制度です。
企業はメインバンクにありとあらゆる情報開示と融資以外の取引を寄せる見返りとして多額の借入を可能としたのです。
メインバンクの機能
メインバンクの役割は多岐にわたります。
最大の貸し手
当然にしてメインバンクが最大の貸出シェアになります。他行はメインバンクが貸し出す金額や金利、期間を参考にして貸し出す条件を決めます。
何があっても守り抜く
基本的にはメインバンクは何があっても企業を守り抜きます。もちろん、自分たちの貸し出しを返してもらうという目的もありますが、赤字になろうが債務超過になって他行が離れていっても最後まで支え続けるのがメインバンクとしての使命なんです。
政策保有株式
株価の安定やアクティビストから企業を守るために企業の株式も保有します。最近ではコーポレートガバナンスコードの普及により、メインバンクであっても株式を売却する動きが目立っています。
銀行OBの出向
主に財務・経理セクションに銀行出身のOBが出向するケースが多いです。銀行OBは銀行の機能を熟知しているため、銀行から必要な資料の取り寄せや条件交渉を企業側の目線で行います。
また、経営企画部門に出向し、そのまま社長に登り詰めるケースもあります。
経営のサポート
メインバンクは上場企業の株主以上に情報開示を受けています。したがって、企業の業績が傾きかけたときにいち早く察知することができ、迅速な再建提案をすることが出来ます。銀行としても、企業と一蓮托生なので最大限のリソースを割いて様々な提案をします。
メインバンクがいないとどうなる?
メインバンクがいないと、企業はあっさり潰れます。
あっという間に破綻したスカイマーク
大手LCCのスカイマークの事例は分かりやすいです。
スカイマークはもともと無借金経営で仲のいい金融機関もおらず、赤字転落した時に貸してくれるようなメインバンクがいなかったのです。そのため、赤字転落して間もなく経営破綻に追い込まれました。
有名企業のメインバンクとサポート事例
メインバンクと企業の関係は様々ですが、ここでは1番有名なソフトバンクの事例をお話しします。
ソフトバンクとみずほの関係
メインバンク制でよく語られるのがソフトバンクとみずほ銀行の関係ですね。ソフトバンクの金融子会社と揶揄されるほど仲が良いです。
借金王ソフトバンク
ソフトバンクは日本の借入残高ランキングで5年連続で1位になるほど借入依存度の高い企業です。その借入を最大限支えているのがメインバンクみずほ銀行です。
英ARM社買収で単独で1兆円を貸したみずほ
これは業界では有名な話。当時、ソフトバンクにとっては最大規模となる3兆円のM&A。この資金調達1兆円を全額みずほがブリッジローンで対応したのがニュースになりました。
M&Aでも必ずみずほ
M&Aの際にはフィナンシャルアドバイザーとして証券会社を雇うのが慣例なのですが、ソフトバンク系のM&Aでは必ずといっていいほどみずほ証券がサポートしてます。
YahooとLINEの経営統合もみずほ証券がソフトバンクの財務アドバイザーになっています。
もうみずほは後戻りできない
今のみずほのソフトバンクへの貸し出し残高は約1兆円です。もし、ソフトバンクが潰れるようならみずほは1兆円を失うことになります。みずほとしてはもうソフトバンクから逃れることが出来ないし、ソフトバンクが貸してと言ってきたら貸さざるを得ない状況になっていると予想されます。
メインバンク制はいずれなくなる?
しかし、メインバンク制はいずれなくなると言われています。
ここ10年で日本企業は好景気に恵まれて大きく財務体力が回復してきました。直接調達も活発になり、借入に依存する企業が減ってきたのです。
また、金余りの時代には何処からでも借入が可能となり、特に銀行と条件交渉をするスキル等もいらないため銀行OBの出向も企業からしたらいらなくなっています。
このような状態が今後も続いた場合、企業にとってメインバンクの意味は無くなるでしょう。