実質リストラ!?みずほの事務員3,000人の営業転換を解説

メガバンク

こんにちは、たこすです。

本日は、みずほの事務員の営業転換について、現役メガバンク行員の立場から解説していきます。

みずほの報道記事

みずほ銀行は2023年度末までに国内店舗に約1万人いる事務員の3割程度を、資産運用の相談などを行う営業職へ配置転換する。事務処理をデジタル技術で効率化し、商品販売を手厚くする。10月から段階的に口座開設や変更届など八つの店舗サービスを完全ペーパーレス化。営業強化と事務効率化を同時に進める。

日本経済新聞社

銀行の事務員は必要なくなる?

「店舗」では事務員は必要なくなります

みずほは、店舗の事務を本部の事務センターに集中することで、店舗の銀行員は本部の事務センターへの取次をすることが主な業務になります。

支店での事務の時間は効率化され、店舗を運用などのコンサルティングの場に変えようとしています。

事務職に求められる選択肢

これから、店舗では事務がほとんどセンター化されます。したがって、窓口の事務職のほとんどは新たな働き方を求められます

① センターに異動して事務のスペシャリストとして活躍する

② 店舗に残り営業デビューする

センターに行くメリットとデメリット

メリット

事務職にとってはやることが変わらないので、大きな負担がないです。

デメリット

デメリットは店舗に残れないことです。

また、事務職は実家から通える範囲で勤務地が決まってますので、センターが遠すぎて通えない場合は強制的に営業人員にシフトさせられるリスクあります

営業デビューのメリットとデメリット

メリット

メリットは、場合によっては収入のアップが見込めれるかもしれないということです。銀行は職務に応じて給与、手当てがあります。営業転換されることで、通常の事務職より手当てが大きくなる可能性があります。

デメリット

そもそも事務職の従業員は給与アップなどのインセンティブがあっても営業をしたいわけではありません。従業員のやりたいことと会社がやりたいことがアンマッチなのです。

加えて、銀行には既に個人営業のプロフェッショナルとして採用された個人営業マンが大量にいます。彼らとも営業成績をかけて競争しなければなりません。研修を通じてソリューションを磨いたとしても、ライバルに追いつくためには数年は必要になります。

そもそも顧客は望んでいるのか

このように店舗のあり方が変わったところでお客さんが来店する動機は変わりません。今の銀行に来店するお客さんが求めているものは「事務」です。

本当の意味で銀行が変わるためには、お客さんが銀行に来店する理由を変質する必要があります

他の銀行はどうなるの?

今回はみずほだけが注目されていますが、他のメガバンクも追随することが予想されます。既にその背景として他メガも採用は一般職と総合職が統合された採用枠に変更されています。事務だけではなく営業も出来る銀行員が今後のスタンダードになっていきます。

実は事務職だけではない?

この話にはまだ続きがあります。

みずほのIR資料を見てみましょう。

みずほフィナンシャルグループIR資料より

法人向け業務特化店の現実

みずほのIR資料から読み解くと、支店の縮小に伴い、法人向けの拠点も集約されていきます。つまり、法人の営業マンも一定数必要なくなります

店舗縮小により、支店長のポストは激減し、加えて法人の営業マンの競争が激化していくでしょう。事務職だけでなく、銀行に勤める従業員全てにとって危機的状況です。

想定される銀行員の未来

求められる店舗改革

銀行はこれからが正念場です。削減されるとはいえ、銀行の支店数は多いままです。店舗のあり方を変えない限り残りの店舗も陳腐化が進んでしまいます

求められる従業員改革

従業員に対しては、より画期的な人事制度が必要になる可能性があります。事務職を営業転換してしまうと今度は営業マンの数が飽和状態になってしまいます。

いずれは銀行でのジョブ型人事制度が適用され人員の流動性を高めるほか、出向する年次を低くするような取り組みも試行されるかもしれません。

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