こんにちは、たこすです。
今日はメインバンクの重要機能の一つであった政策保有株式(株式持ち合い)について解説していきます。
政策保有株式(株式持ち合い)とは
政策保有株式とは、企業が純粋な投資ではなく、取引先との関係維持や買収防衛といった経営戦略上の目的で保有している株式のことです。
日本独自の仕組み
この仕組みは海外にはないのが特徴で、1960年頃から始まったようです。
近年では、資産の有効活用を妨げる点や「モノいわぬ株主」が存在することで企業統治(コーポレートガバナンス)の形骸化を招く弊害もあるため海外投資家を中心に批判を浴びています。
メガバンクは大量の政策保有株式を所持
歴史的に、メガバンクは取引先企業との中長期的な関係の維持を目的に政策保有株式を保持していますが、主にメインバンクが取引先の筆頭株主となっていることが多いです。
CGコードが始まった
そんな中、2015年よりコーポレートガバナンスコード、いわゆるCGコードが始まりました。海外投資家を重視して、金融庁と東京証券取引所が中心にまとめたルールで、全上場企業を対象に適用されました。
ルールを遵守する必要はないですが、なぜ遵守しないのかを説明する義務があり、適用された年は上場企業のお客様が大混乱していました。
2018年に政策保有株式についてのルールが厳格化
2018年から政策保有株式に関するルールが厳格化されました。
具体的には、政策保有株式を保有し続けるための基準を設けて、それに対して各株式が基準を満たしたかどうか検証結果を開示するというものでした。
ついに売却に動き出したメガバンク
これを受けて、歴史的に大量の政策保有株式を持つメガバンクは政策保有株式の売却に舵を切り出しました。
削減については各行横並びで3割削減と中期経営計画で謳っています。これは取得原価ベースで2兆円にものぼります。
裏側ではギリギリの交渉
ただし、この削減方針はあくまで銀行の都合であり、筆頭株主が変わってしまうような銀行からのお願いに取引先企業が簡単に納得するはずがありません。
銀行によっては取引地位が変更に
もともと、政策保有株式はメインバンクが筆頭株主になっています。これでメインバンクが株式を売ったらどうなるでしょうか。他の銀行が筆頭株主になるわけです。
銀行によって政策保有株式に対する考え方は絶妙に違うので、もともとのメインバンクが取引を解消させられて、売らなかった銀行がメインバンクに昇格するなんていう珍事件も発生しました。
本来は株価が上がるはずなのに
CGコードにおける政策保有株式の売却は本来海外投資家からの投資を促進して株価を向上させることが目的です。
しかし、実態としては中堅クラスの上場企業は株式の流動性が低く、メガバンクが株を売却してしまうと株価が暴落するリスクさえ孕んでいるのです。
そのため、中堅クラスの上場企業はわざわざ自己株式の取得として自らメガバンクから株式を買い取っています。
メインバンクの在り方が試される
今後もメガバンクは政策保有株式の売却を継続します。
お客さんの株を持ち続けなくてもパートナーとして信頼関係を続けるには、お客さんの真のニーズを理解し、それらを解決するためのソリューションを提供し続けないければいけないでしょう。
いままでメインバンクはその立ち位置を利用してあぐらをかいてきた担当者もいます。そういった態度を改め、真のメインバンクとは何なのかを問い続けることが大事だと思います。