こんにちは、たこすです。
本日はCFOと経理部長の違いです。
最近は横文字の肩書きが増えてきました。メガバンクで営業をしていると経理部や財務部の方と会話をする機会がとても多いですが、意外とCFOと経理部長の違いを答えられる銀行員は少ないので、CFOの役割を解説しながら違いを見ていきます。
CxOとは
CxOとは、シーエックスオーと読み、企業における様々な役割の最高責任者のことを言います。
今まではCEOやCFOくらいしか言われていませんでしたが、近年では沢山の役割がこの3文字で表現されてきたため、それらをまとめてCxOと呼ぶようになってきました。
主なCxO一覧
CFOとは
CFOとは、最高財務責任者のことで、その名の通り企業の財務を扱う責任者のことです。ただし、ただ計数をまとめたり、決算のチェックをしているわけではありません。
経理部長の仕事とCFOの仕事を見ていきましょう。
経理部長の仕事
経理部長の仕事は、企業の決算をまとめたり、銀行と借入の条件等について交渉をしたりすることです。
銀行との折衝は財務部長がして、経理部長はより内向きの計数の処理をするような企業もあります。
経理部長の場合は、投資判断等の意思決定権を持っていることはまれです。
CFOの仕事
CFOの仕事はもう少しレベルが高いです。
経営戦略の策定
企業の戦略の大きな方向感を描くのはCEO(社長)が考えます。この社長の「想い」を数値計画に落とし込むのがCFOの仕事の一つです。
「想い」だけでは事業は成功しません。事業を取り巻く環境を踏まえ、他社との比較した強みなどを数字に定量化し、計画値に落とし込むのがCFOの腕の見せ所です。
資金調達手法などの財務戦略の策定
今の企業では、経営戦略の中でM&Aが戦略の柱になっていることも往々にしてあります。
経営戦略の中にM&A戦略を盛り込む際には、いくらまでM&Aに資金を投入出来るのか、投入した際に株価にどのようなインパクトがあるのかも事前に把握している必要があります。
上場企業は社債を発行しているケースもあり、CFOはどの水準の借入なら格付けに影響がないのかを格付け会社と折衝したり、株価にM&A戦略がどのように評価されるかを証券会社のアナリストや機関投資家と日々の会話を通じて把握している必要があります。
CFOは今までは必要なかった
今までの日系企業にはCFOは要りませんでした。なぜなら、M&Aも活発ではなかったし、株主は安定した仲のいい持ち合い企業しかなく、市場との対話をする必要がなかったんです。
昔ながらの企業は成長のための投資と言えばまずは設備投資です。設備投資の判断は社長がして、その後経理部長が銀行と相談して借入をすれば良かったのです。
CGコードによってCFOが必要に
ところが、上場企業は、コーポレートガバナンスコードが適用され、市場との対話がとても大事になり、投資金額の妥当性や利益率など、財務の数字に対する対外的なコミットが当たり前の時代になったのです。
ぼくの担当するお客さんも、今まで30分で終わっていた株主総会が株主からの質問攻めで2時間かかるようになったりして、物言う株主が急激に増えてきました。
株主からの質問は市場を意識したものが多くなり、それに対応するだけのスキルを持つ責任者(CFO)が必要になったのです。
CFOに必要なスキル
CFOには経理部長以上のスキルが必要になってきます。経理部長は今まで簿記などの会計や税務に関する知識が有れば成り立つ仕事でした。
しかし、CFOには、コーポレートファイナンスの基礎知識が必要です。自分の企業の株価が割安な水準なのか割高な水準なのかを判断するスキルと、その際にその水準を正すために行動するスキルが必要です。
ソフトバンクCFOの華麗なる打ち手
CFOのテクニックが発揮された好事例としてソフトバンクグループの自社株買いの発表について解説します。
ソフトバンクグループは、2020年3月13日に発行済み株式に7%を5,000億円で買い取る自己株式取得のプレスリリースを発表しました。
自社株買いは、通常、自分の想定する企業の株価が思ったより低く、割安であると判断したときに実行する手法です。
この時のソフトバンクグループの株価は3,700円で3年ぶりの安値を更新するような水準でした。これをCFOは割安と判断したのでしょう。
この自社株買いが市場に強いアピールポイントとなり、2020年8月7日時点では6,500円と75%も株価が上昇しています。
この一連のソフトバンクグループの動きはCFOが意思決定し判断したのでしょうが、華麗なる打ち手と言わざるを得ません。