こんにちは、たこすです。
半沢直樹2の第5話を解説していきます。
メインバンク開発投資銀行のモデルとは
今回のモデルはJALだと想定されます。JALのメインバンクは日本政策投資銀行で、準メイン行はみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)でした。ですので、今回の開発投資銀行のモデルは日本政策投資銀行で東京中央銀行のモデルは三菱UFJではなくみずほ銀行の可能性が高いです。
日本政策投資銀行(DBJ)はメガバンクと何が違うの?
DBJは政府100%出資の銀行です。メガバンクは上場企業であり、株主に支えられている部分もあるため営利目的で動いていますが、DBJは純粋に「日本経済の成長」、「産業の育成」を追及している点が大きな違いです。
僕もDBJと取引のある大企業を担当していましたが、DBJの融資はやたらと期間が長いイメージです。時として、DBJの提示する金利が低すぎて我々メガバンクも低い金利を強要されるようなこともあります。
一律7割の債権カット
これは実際にあった話です。当時のJALの再建についてはJAL再生タスクフォースが主要金融機関に対して2,500億円の債権放棄を銀行団に依頼しています。
今回の開発投資銀行の債権額が2,500億円なのはこれをオマージュしているかもしれませんね。
JAL再建の詳細については下記をご参照ください。
再生タスクフォースの依頼に対し、メガバンク側は「預金者や株主に説明がつかない、下手すれば株主代表訴訟のリスクがある」と回答して一旦要求を跳ね返してたりします。
僕も銀行の立場であればなるべく債権カットの料率を下げるか、企業側も厳しい改革について経営陣が約束しない限り認めないと思います。
銀行で一枚岩になれば、政府に対抗できる
開発投資銀行の株主構成が明示されていなかったので実態は不明ですが、仮にDBJと同じであれば政府100%出資の銀行なので交渉で一枚岩になれる可能性は極めて低いです。
タスクフォースチームはファーストクラスのランチを要求
これはJAL再生タスクフォースを揶揄してますね。当時の再生タスクフォースは1ヶ月だけで10億円もの費用をJALに請求して問題になっています。
半沢の倒産寸前企業のものさし
倒産寸前は挨拶がなくなるという半沢のものさしは実際に銀行員として僕も大事にしているものさしの一つです。特に、製造業のお客様で工場見学に行った際はすれ違うときに挨拶があるかを見るのは重要なポイントです。
赤字の工場ほど挨拶がない傾向が実際にありました。
銀行の再建案がリーク
このようなことは実際にはありませんが、重要なM&Aの情報や赤字決算の情報などが日経新聞にリークされて、企業が正式に発表する前に報道されることはしばしばあります。
ちなみに、企業によっては戦略的に市場の反応を確かめるためにわざと新聞記者にリークするようなパターンもあります。
貸すも親切、貸さぬも親切
信用金庫の神様と呼ばれた元全国信用金庫協会会長の小原鐵五郎氏の名言です。
本当に企業のためになるのであれば多少無理してでも貸すし、仮に戦略に納得出来ないのであれば、たとえ担保が足りていても貸さないのが金融機関としての在り方という考えです。銀行員にとってとても大事な考え方だと思います。
永田財務担当役員は銀行からの天下り
紀本常務が伊勢志摩支店長時代だったときの部下で、当時の永田の貸し出しの一部が議員の献金に流れていた疑惑で出向になったとのこと。
銀行で不祥事疑惑の銀行員を取引先企業に出向させることはありません。取引先企業に出向する際は銀行としても取引先企業で活躍が期待される人を出向させているため、本当はこのようなパターンはあり得ません。
また銀行員が財務部長や担当役員でのポジションで出向するのはよくある話です。再建当時のJALには、DBJとみずほからそれぞれ役員ポジションの出向者がいました。なお、現在では出向者は一人も役員にはいません。
(検証)債権カットもなく、再編できるのか
仮に、当時のJALでシミュレートすると、債権カットなしで立ち直せるかと聞かれるとかなり難しいと回答せざるを得ません。
当時のJALは5,000億円の債権放棄の代わりに政府から3,500億円の公的資金による資本注入を受けてます。
債権放棄をしないということは政府からの3,500億円の支援もないとのいうことなので、その分を銀行団で工面しなければならないです。当時のメガバンクにその体力があったかというと、メガバンクもリーマンショックでかなり傷ついていたので、かなり難しいと言えます。