現役メガバンク行員から見た半沢直樹2【第7話】【解説】

半沢直樹

こんにちは、たこすです。

個人的にはとても衝撃的な結末だった第7話の解説をしていきます。

開発投資銀行の融資が打ち切り?

白井大臣はスカイホープに開発投資銀行が融資をしないという理由で資金調達体制に難があるとイチャモンをつけて認可を下ろしませんでした。

開発投資銀行が貸さないなら東京中央銀行が貸せばいい

半沢の判断は個人的にはとても名案だと思いました。資金調達体制に問題があるのであれば他の銀行が貸せばいいだけの話。しかも、スカイホープは設定上はかなり勢いのある優良企業であり、そのような企業と取引を新たに始めることが出来るので、一石二鳥です。

裏切り者候補の紀本常務と大和田取締役に止められる

民意を味方につけた白井議員を理由に裏切り者の可能性がある紀本常務と大和田取締役に止められてしまう始末。

しかし、この判断は実は融資におけるある原則に則った対応と言えます。

銀行の融資には5大原則というものがあり、その一つに「公共性の原則」があります。

これは、銀行がお客様から預かった預金で融資をしているからと言った観点に基づいており、ビジネスとして儲かれば良いと言うのではなく、融資先企業に公共的な使命、社会的意義が認められなくてはならないというもので、銀行は民意に沿った融資をすることがルールとして定められています

東京中央の再建案は完璧

白井議員はキレてましたが、半沢が本当に優秀なバンカーであるということなのだと思いました。

銀行はお客様から融資の依頼があったとき原則事業計画をいただきますが、大体は夢と希望が詰まっていて、説得力のある事業計画であることは稀です。

半沢は事業計画策定にあたって2週間ほど帝国航空のありとあらゆる部分を精査していました。その精査を通じて、全銀行員が納得するような地に足のついた計画だったことが想像できます。

取締役会で稟議を決議

借りたものは返すのは子供でも知っている常識

このシーンは銀行員じゃない方は冷たすぎると感じたんじゃないでしょうか。しかし、銀行は個人のお客様から預かった大切な預金を使って融資をしています。その観点からはしっかりとお金を返してもらいことが大切とも言えます。

本当に顧客第一なのか

半沢の案には個人的には疑問が残りました。

帝国航空に必要なのは10年、20年後に自立して利益を出している仕組みを作ることであり、そのためには自社再建が不可欠と言った主張でした。

ただし、それまで帝国航空を甘やかしていたのもまた銀行であり、その責任を取らないというのも違う気がしましたし、債権放棄をしても利益体質を作れるように銀行が今度こそ指導すればいい話では、とも思いました。

でも、半沢のような信念を持った銀行員の意見が通るような銀行はとても健全な職場だと思います(最後は否決されてましたが)。

紀本常務が進退を懸けて取締役会決議

僕は銀行の取締役会の様子は知らないので現実とどう違うかは分かりませんが、最近では社外取締役を取り入れる企業が多く、昔は儀式みたいに通るのが当たり前だった議案が取締役会でひっくり返ることが多くなったとお客さんからは聞こえてきたりします。

このように紛糾するような取締役会が本来あるべき姿と言えるのかも知れません。

条件付き稟議決裁

半沢は何とかメインの開発投資銀行が否決すれば拒否できる条件をつけることができました。実際にも、準主力銀行がメインバンクの意向に沿って対応するのが銀行業界の暗黙のルールだったりします。

合同報告会

メイン行に準ずる非メイン銀行たち

とてもカッコよく見せていた場面ですが、実際はこれが結構問題視されています。特に、地銀は融資の判断すらもメイン行に任せていたりします。

メインのメガバンクが貸すならうちもそれより安い金利で貸します!みたいなセールストークでアプローチする地銀は後をたたないと知り合いの経理部長とかが愚痴ってたりすることも。

開発投資銀行が債権放棄を拒絶

個人的にはとても衝撃的な展開でした。僕はせめて一部の債権放棄は承諾して痛み分けみたいな展開を想定していたので、完全に予想を超えていました。

貸すも親切、貸さぬも親切の解説はこちら

民営化するだけで政府の呪縛を抜け出せるのか

実際に民営化するだけで意思決定が覆るのか、というと答えはノーです。

2007年に民営化し、2017年には上場した日本郵政はまだ取締役の半分以上が政府からの天下りで構成されています。本当の民営化までは民営化後に入社した社員が社長クラスの年齢になる数十年後までは望めないでしょう。

債権放棄を拒否した方が大変

債権放棄を拒否したということは、今後は政府からの支援も得られないほか、帝国航空は厳しいリストラ、不採算路線の撤退が待っています

実際のJALよりも厳しい環境でどのように再建が進めてられていくか、次回も楽しみです。

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