こんにちは、たこすです。
本日は、半沢直樹の帝国航空のモデルとなっているであろうJALの再建について、当時を振り合えりながら今のJALはコロナで大丈夫なのか、検討していきます。
JAL再生タスクフォースが設置
2009年9月、自由民主党から民主党から政権交代を受けて、当時の前原国土交通大臣は、経営が前政権の時から不安視されていたJALに対して、「JAL再生タスクフォース」を設置しました。
この時点でJALは2008年のリーマンショックの影響もあり赤字体質になっており、経営の健全性を示す自己資本比率は10%を下回るような厳しい状況でした。
再生タスクフォースはこのような状況のJALグループの資産査定を行い、政治主導で再生計画を策定することを目的としていました。
当時のメンバー
再生タスクフォースは、下記の構成員に加え西村あさひやボスコンの専門家や社内スタッフ合計100名以上でチームアップされました。
たった1ヶ月で10億円
このタスクフォースは1ヶ月で解散され企業再生支援機構に引き継がれていますが、その間に発生した費用は約10億円で、この10億円を全てJALが負担するということが当時問題になりました。
会社更生法の申請
2010年1月、JALは企業再生支援機構をスポンサーとして、東京地裁に会社更生法の適用を申請しました。
申請時の負債総額は2兆3000億円で、事業会社としては戦後最大の経営破綻と言われています。
当時のJALの財務状況
会社更生法の申請時、すでにJALの債務超過額は1兆円規模でした。これは、全てのJALの資産を売却しても1兆円の負債が残ることを意味します。
再生タスクフォースから報告された実質的なJALのバランスシート
JALが会社更生法の申請をする直前のバランスシートでは2,000億円の純資産が残っていましたが、実態は、年金の未認識債務や航空機の評価損、保有している不動産の評価損を適切に処理するとこのようなバランスシートになってしまったようです。
JAL再建で行ったこと
ここからはJALの再建で具体的に行ったことを金融と事業に分けて見ていきます。
金融面の対策
銀行の債権放棄
支援の一環で、メインバンクの日本政策投資銀行とメガバンクが87.5%の一律債権放棄に応じました。また、社債やデリバティブも含めると債権放棄額は5,216億円にのぼります。
公的資金の注入
政府は、更にJALの財務状況を改善させるために公的資金を注入しました。その金額はなんと3,500億円で、これは私たちの税金が利用されています。
事業面の対策
年金制度にメス
JALの年金制度はめちゃめちゃ優遇されていました。老後も遊んで暮らせるくらいの年金生活が保障されていたのです。この制度にメスが入りました。
具体的には、企業年金は年金の一部を企業が負担する制度なのですが、この企業が負担する金額をなんと30%もカットしました。要は年金が30%カットされたわけです。
これに対してJALのOBも従業員も猛反発しました。しかしながら、当時のJALの状況を踏まえれば受け入れざるを得なかったと思います。
従業員の給与カットと解雇
従業員の給与カットも凄まじかったです。ANAの年収より2割程度低い水準まで給与が減額され、当時批判の大きかったパイロットのハイヤー送迎もなくなりました。
従業員数のスリム化も同時に行われ、1年間で48,714人から32,600人まで削減されました。
不採算路線の削減
不採算路線からの大胆な撤退も行いました。
過去3年で国際線は75路便→65便、国内線は148路便→109路便まで削減されています。
JAL再建後はどうなったのか
JALは見事に再建され、2012年3月期には過去最高益となる営業利益2,049億円を計上し、2012年9月には再上場にこぎつけました。
コロナの影響はどうか
2020年4月〜6月の決算
新型コロナウイルスの影響は大きく、JALは3ヶ月間で約1,000億円の赤字を計上しています。ドル箱だった国際線でのビジネスクラスを利用する出張者が激減していたり、海外旅行者が激減している点が主な要因です。
最悪だった2020年の4月から6月の状況が1年間続くと、4,000億円の赤字になる可能性もあります。
バランスシートの状況を踏まえると、2年くらいはもちそう
現状のバランスシートを見ればわかりますが、JALの純資産は約1兆円あります。これを踏まえると、2年間このペースで赤字が続いても債務超過にならずに耐えられると思われます。
2021年3月期第1Qのバランスシート
withコロナを生き残れるか
JALは複数の戦略を打ち出しています。
これらの対策とコロナ後の世界の在り方でJALの行く末は大きく変わると思われます。